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その高値抜け、本当に入る?ブレイクアウトの継続と失敗から考えるトレード戦略!

目次

「高値を抜いたら買い」――なぜそんなトレードが成立する?

チャートを見ていると、何度も止められていた高値を抜いた途端、そのまま価格が上へ走っていくことがあります。

それまで何度も跳ね返されていた場所を越え、勢いよく伸びていく。

そんな場面を見ると、

「高値を抜いた。ここは買いでは?」

と考えたくなるかもしれません。

こうした値動きを狙う代表的な考え方が、Breakout(ブレイクアウト)です。

一般的には、高値を上へ抜けた方向への買いや、安値を下へ抜けた方向への売りを検討する考え方として知られています。

あるいは、一定のレンジを抜けたあと、その方向へ価格がさらに進むことを狙う。

考え方そのものは、とてもシンプルです。

ですが、ここで少し立ち止まってみます。

過去につけた高値を越えただけで、なぜその先まで価格が走るのでしょうか?

たとえば、ドル円が何度も150.000付近で上昇を止められていたとします。

その後、価格が150.000を越えて150.010へ。

チャートを見れば、「高値を抜けた」と判断できる場面です。

でも、150.000という数字そのものが価格を押し上げているわけではありません。

チャート上のラインそのものに、その先の価格を動かす力があるわけでもありません。

それでも実際の相場では、高値を越えたところから値動きが加速し、そのまま上へ伸びていくケースがあります。

その一方で、

「抜けた」と思った直後に失速し、あっさり元の範囲へ戻ってしまう。

そんな場面もあります。

つまり、

「高値を抜いた」という事実と、「その先も価格が走る」という結果は同じではありません。

ここを分けて考えることが、Breakoutを見る最初のポイントです。

もし、

高値を抜いた ⇒ 買い

だけでトレードを組み立ててしまえば、そのBreakoutがなぜ続いているのか、あるいはどこで継続を疑うのかを見る部分が抜け落ちてしまいます。

ある高値抜けはそのまま走り、別の高値抜けは元の範囲へ戻ってしまう。

その違いをどう見て、トレーダーは本当にそのBreakoutをトレードするのか。

今回考えたいのは、そこです。

「高値を抜いた」と「その先も走る」は別です。
Breakoutでは、その水準を越えたあとの値動きまで含めて判断します。

この記事では、「高値を抜いたら買い」という完成されたルールを覚えるのではなく、

なぜBreakoutが継続することがあるのか。
どこで失敗を疑うのか。
そして、どんな状態ならトレードを検討するのか。

その順番で考えていきます。

では、その前に一つ整理しておきましょう。

そもそもBreakoutでは、何を「抜けた」と見ているのでしょうか。

そもそもBreakoutでは、何を「抜けた」と見ている?

「高値を抜いた」と言っても、まず確認したいのは、その「高値」が何を指しているのかです。

Breakoutで注目されるのは、直近につけた高値だけではありません。

たとえば、

  • 直近の高値・安値
  • 一定期間続いたレンジの上限・下限
  • Support / Resistanceとして見られている水準

など、価格がそれまで何度か反応してきた場所が、Breakoutを見る基準として使われることがあります。

ここで大切なのは、Breakoutには「この一本を抜けば成立する」という絶対的なLineがあるわけではないことです。

同じチャートを見ていても、どの水準を基準にするかによって、「Breakout」と呼んでいる値動きは変わります。

たとえば、直近高値を少し越えたとしても、その上にさらに大きなレンジの上限が残っているかもしれません。

逆に、細かな高値を一つずつ見るのではなく、

この価格帯を越えたら、それまで続いていたレンジの外へ出た

と見ることもできます。

「高値を抜いた」という言葉だけでは、まだ情報が足りないということです。

どの高値なのか。
どのレンジなのか。
どのSupport / Resistanceを基準にしているのか。

まずは、何を基準にBreakoutを見ているのかを整理する必要があります。

実際、FX市場に関わる6社が示したSupport / Resistanceを調べた研究では、日中のトレンドが中断する動きを予測するうえで、一定の有用性が確認されています。

ただし、その予測力は通貨や各社によって異なっていました。

ですから、「ラインを引いたから市場が反応する」と考えるのではなく、

Breakoutを観察する基準となる水準の一つとして見る

くらいが適切です。

Breakoutを見るときは、「抜けたか」だけでなく、まず「何を抜けたのか」を確認します。

では、なぜ直近高値やレンジの上限といった水準が、そもそも注目されるのでしょうか。

次は、その水準の周辺へ視点を移してみます。

なぜ高値・安値の周辺が注目される?

直近高値やレンジの上限がBreakoutの基準になるとしても、まだ一つ疑問が残ります。

なぜ、その水準が注目されるのでしょうか。

高値や安値という数字そのものに、特別な力があるわけではありません。

手がかりになるのは、その水準を基準に注文や判断が変わる可能性があることです。

たとえば、ある高値を上へ抜けたら損切りすると決めている売りポジションがあれば、その水準が損切り注文の基準になることがあります。

一方で、

この高値を上へ抜けたら買いを検討する

と考えているトレーダーがいれば、同じ水準が新しくトレードへ参加する判断基準になることもあります。

一つの水準を見ていても、そこで考えていることは参加者によって同じとは限りません。

  • 損切りを考える人
  • 利益確定を考える人
  • 新しく入るか判断する人
  • 何もせず様子を見る人

さまざまな判断が重なり得ます。

こうした注文について、実際のFX市場を調べた研究もあります。

大手FXディーリング銀行の注文データを分析した研究では、損切り注文や利益確定注文の指定価格が、150.000のようなRound Number(キリのよい価格(キリ番))周辺へ集まる傾向が確認されています。

また、この研究ではSupport / Resistanceと注文の配置との関係も検討されています。

ただし、ここは少し注意が必要です。

「高値の外側には、必ず大量の損切り注文がある」という意味ではありません。
研究で確認されたのは特定の大手FXディーリング銀行の過去の注文データであり、現在のすべての高値・安値へそのまま当てはめることはできません。

チャート上の直近高値を見ただけで、

この上には大量の損切り注文がある

と決めつけることはできないということです。

それでも、高値・安値やSupport / Resistance、キリのよい価格などが売買の基準になれば、その周辺で注文やさまざまな判断が関係してくる可能性があります。

ここに、単なる一本のラインとして見る場合との違いがあります。

高値・安値そのものに価格を動かす力があるわけではありません。
その水準の周辺で、注文や参加者の判断が変化し得ることがBreakoutを考える手がかりになります。

では、その水準を実際に越えたとき、市場では何が変わり得るのでしょうか。

高値を抜いたあと、市場では何が変わり得る?

ここまで、高値や安値の周辺では、注文や参加者の判断が関係してくる可能性があると見てきました。

では、価格がその水準を実際に越えたらどうなるのでしょうか。

たとえば、何度か上昇を止められていた150.000を、価格が上へ抜けたとします。

チャート上ではラインを一本越えただけに見えても、市場側では別の変化が起きている可能性があります。

その水準を損切りの基準にしていた売りポジションがあれば、条件に応じて損切り注文の発動や執行が関係してくることがあります。

同じタイミングで、高値抜けをきっかけに新たな買いを検討する判断が加わることもあります。

水準を越えたことをきっかけに、それまでとは異なる注文や売買判断が市場に加わる可能性があるということです。

こうした注文の流れを考えるときに出てくるのが、Order Flow(注文フロー)です。

ただし、Order Flowを

「買いが増えたから価格が上がった」

という一本の説明だけで捉えるのは十分ではありません。

FX市場では、注文の発動や執行だけでなく、提示されている価格そのものが見直されることもあります。

市場の状況が変われば、BidやAskとして示されているQuote(提示価格)が変更されたり、その価格付近で提示されるLiquidity(流動性)の状態が変わったりすることがあります。

そのため、高値を抜いたあとには、たとえば次のような変化が起こり得ます。

  • 損切りなど条件付き注文の発動・執行
  • 新たな買いや売りの判断
  • Order Flowの変化
  • Quoteの見直し
  • その価格帯で提示されるLiquidityの状態変化

ここで注意したいのは、

「損切り注文が発動したから、そのまま価格が上がる」

という一本の流れに決めつけないことです。

損切り注文にはさまざまな仕様があり、水準を越えたあとに市場で起こる変化も一つではありません。

同じように高値を抜けた場面でも、その後の市場状態が同じとは限りません。

Breakoutで変化し得るのは、チャート上の位置だけではありません。
水準を越えたあとには、注文・Quote・Liquidityなど、市場側でも複数の変化が起こり得ます。

では、こうした変化が一度きりで終わらず、価格がそのまま一方向へ走ることがあるのはなぜでしょうか。

なぜBreakoutはそのまま走ることがある?

高値を抜いたあとには、注文やQuote、Liquidityなど、市場側でも複数の変化が起こり得ると見てきました。

高値を抜いたあと、なぜ価格はそこで止まらず、そのまま走ることがあるのでしょうか?

ここで考えたいのは、最初の高値抜けだけではなく、そのあとも同じ方向への変化が続くかどうかです。

水準を越えたことで発生し得る注文

まず、高値の上抜けをきっかけに、それまで条件を満たしていなかった注文が関係してくる場合があります。

たとえば、高値の上を損切りの基準にしていた売りポジションがあれば、水準を越えたことで損切り注文の発動や執行につながることがあります。

実際、FX市場の注文データを調べた研究では、損切り注文が集中した水準への到達をきっかけに、注文の発動が連鎖し、一方向の値動きが連鎖的に増幅するPrice Cascade(価格変動の連鎖)へ寄与する場合があることも示されています。

ただし、すべてのBreakoutがこの仕組みで起こるわけではありません。

高値を抜けた

損切り注文が発動した

必ず上昇する

という仕組みでもありません。

すべての高値の外側に大量の損切り注文があるわけではなく、損切り注文の扱いや執行方法も一様ではありません。

大切なのは、高値を抜いた理由を何か一つの原因だけで説明するのではなく、そのあとも市場側の変化が続く可能性を見ることです。

その後に加わる注文

Breakoutが続くとき、最初の水準突破だけで終わるとは限りません。

価格が高値の外側へ進むことで、

高値を抜けたあとも上方向への動きが続いている

と判断し、新たに買いを検討する参加者が加わることもあります。

すでに起きている注文の発動・執行に、新たな売買判断が重なる。

その後も新たな注文が加われば、Order Flowの状態も変化することがあります。

チャート上では、結果として「抜けたあとも価格が同じ方向へ進んでいる」ように見えることがあります。

ただし、チャートだけを見て、どの注文がその値動きの原因だったのかまで特定できるわけではありません。

また、この値動きだけを見て、

「このまま上がる」

と決めることもできません。

ここで見ているのは、Breakoutが継続する場合に考えられる市場側の変化であって、その後の値動きを保証する条件ではありません。

注文の流れとLiquidityの関係

さらに考えたいのが、Order FlowとLiquidityの関係です。

同じような注文が発生しても、その価格帯でどのようにLiquidityが提示されているかによって、価格への影響は同じとは限りません。

注文が加わる一方で、それを受け止めるLiquidityとのバランスも変化していきます。

その関係によっては、同じ方向への値動きがさらに進むこともあれば、そこで動きが弱まることもあります。

つまり、Breakoutが走る理由を、

「高値の上に損切り注文があったから」

だけで説明することはできません。

条件付き注文の発動や執行、その後に加わるOrder Flow、Quoteの変化、そしてLiquidityとの関係。

こうした複数の変化が重なり、水準を越えたあとも一方向の変化が続いたときに、Breakoutがそのまま伸びていくケースがあります。

Breakoutが走るのは、「高値を越えた」という事実そのものが原因ではありません。
水準を越えたあとも、注文・Quote・Liquidityなどの変化が一方向の値動きを支える状態が続けば、値動きが増幅される場合があります。

ここまでを見ると、Breakoutが続く仕組みは少し見えてきました。

では、同じように高値を抜いたのに、そのまま走らず元の範囲へ戻ってしまう場合は何が違うのでしょうか。

高値を抜いても戻る――Breakoutはどこで崩れる?

ここまで、高値を抜いたあとも注文やQuote、Liquidityなどの変化が続くことで、Breakoutがそのまま伸びるケースを見てきました。

では、同じように高値を抜いたのに、価格がその先へ進まず戻ってきた場合はどう考えればよいのでしょうか。

たとえば、150.000の高値を上へ抜け、一度は150.020まで進んだとします。

ここだけを見れば、

高値を抜いた

という事実は変わりません。

ところが、そのあと価格が再び150.000を下回り、それまで動いていたレンジの内側へ戻ってきたとしたら、状況は少し変わります。

Breakoutで見ていたのは、単に水準の外側へ価格が出ることだけではありません。

水準を越えたあとも、その方向への値動きが続くかどうかでした。

そのため、高値を越えたあとに継続できず、元のレンジや水準の内側へ戻ってくる動きは、Breakoutの継続を考えるうえで重要な変化になります。

本記事では、このように水準を越えたあと継続せず、元のレンジや水準の内側へ戻るなど、Breakout継続の見方を弱める値動きBreakout Failureとして扱います。

ただし、

高値を少し下回ったら失敗
○pips戻ったら失敗
ローソク足が一度内側で確定したら失敗

といった共通のルールがあるわけではありません。

どこまで戻ればBreakoutが崩れたと判断するかは、見ている水準やRange、時間軸、トレード条件によって変わります。

大切なのは、「一度抜けた」という事実だけに判断を固定しないことです。

高値の外側で値動きが続かず、再び内側へ戻ってきたのであれば、

最初に考えていた「このBreakoutはそのまま継続する」という見方は、まだ維持できるだろうか?

と見直す必要が出てきます。

この「抜いたあとに戻る」という値動きは、Liquidity Sweepと呼ばれる動きと重なることがあります。

Liquidity Sweepでは、高値や安値などの水準を一度越えたあと、再びその内側へ戻る値動きに注目します。

ただし、ここではBreakout FailureとLiquidity Sweepをまったく同じ意味として扱うわけではありません。

見ている値動きが似ていても、焦点が異なります。

Breakout側で確認したいのは、

「突破後の継続という見方が、どう弱くなったのか」

という点です。

Liquidity Sweep側では、その「戻ってきた値動き」をどう判断材料へ変えるかが主役になります。

同じチャートでも、

抜けたあと、そのまま外側へ進んだ
→ Breakoutの継続側

抜けたあと、元の範囲へ戻った
→ Breakoutの継続を見直す側

というように、突破したあとの展開によって見方が分かれていきます。

Breakoutの継続を判断するときは、水準を越えた瞬間だけを見ません。
抜けたあとも外側で値動きが続くのか、それとも元の範囲へ戻るのかまで見て判断します。

ここまでで、「抜けた」という事実だけではBreakoutの継続を判断できないことが見えてきました。

では実際にBreakoutへ参加する前には、何を確認すればよいのでしょうか。

Breakoutでエントリーする前に、何を見る?

ここまで見てきたのは、Breakoutがなぜ伸びることがあり、どのような場面でその継続が崩れるのかという市場側の話でした。

ここからは、トレーダー側へ視点を移します。

チャートで高値を抜いた場面を見つけたとしても、

「Breakoutした」=「すぐエントリーする」

ではありません。

Breakoutしたかどうかと、そのBreakoutへエントリーする価値があるかは別問題です。

では、エントリーを考える前に何を確認すればよいのでしょうか。

まず見たいのは、何を抜けたのかです。

直近の小さな高値を抜けたのか、それとも何度も意識されていた高値やRangeの上限を抜けたのか。

ここまで見てきたように、同じ「高値抜け」でも基準にしている水準は同じではありません。

次に確認したいのが、抜けたあとも水準の外側で値動きが続いているかです。

一度だけ高値の外へ出ても、すぐに元のレンジへ戻ってしまえば、Breakoutの継続という見方は弱くなります。

反対に、高値を越えたあとも外側で値動きが続いているなら、少なくとも「抜けてすぐ戻った」という状態とは異なります。

ただし、ここでも、

外側にいるから買う

と自動的に判断するわけではありません。

もう一つ重要なのが、このBreakoutの見方が崩れるとしたら、どこなのかです。

たとえば、

ここまで戻ったら、もう「上方向へのBreakoutが続いている」とは考えない

というInvalidation(見方が崩れる水準)が遠ければ、エントリーを考えている位置からそこまでの距離も大きくなります。

だからといって、距離を小さくするために、見方が崩れる水準を都合よく近く設定すればよいわけでもありません。

大切なのは、エントリーを考える前に、

「どこから先は、自分が見ていたBreakoutの前提が崩れるのか」

を考えておくことです。

そして最後に、自分のトレード条件と合っているかを確認します。

Breakoutそのものがきれいに見えても、

  • 自分が見ていた水準ではない
  • 抜けたあとすぐレンジへ戻っている
  • 見方が崩れる水準まで遠すぎる
  • 自分が決めているエントリー条件が揃っていない

のであれば、見送る判断もあり得ます。

Breakoutを見つけたことと、エントリー条件が揃ったことは同じではありません。

Breakoutを見つけても、すぐエントリーと決めるのではなく、
「何を抜けたか」「抜けたあとどうなっているか」「どこで見方が崩れるか」を確認します。

こうした点を確認したうえで、

では、どのタイミングで参加するのか?

という次の疑問が出てきます。

Break直後に入るのか。

少し継続を確認してから入るのか。

それとも、一度戻るのを待つのか。

次は、このエントリーするタイミングの違いを比べてみます。

Break直後・確認待ち・Retest――いつ入る?

Breakoutへ参加する条件を確認したとしても、もう一つ決めなければならないことがあります。

いつエントリーするのかです。

同じ高値抜けを見ていても、

抜けた瞬間に近いところで入る
少し値動きを確認してから入る
一度戻ってくるのを待って入る

では、エントリーする時点で持っている情報が違います。

ここで重要なのは、どれか一つを「正解」にすることではありません。

待つことで確認できる情報が増える一方、その間に価格が進み、参加する機会を逃すこともあります。

それぞれの違いを見てみましょう。

Break直後に入る

一つ目は、高値などの水準を越えた直後にエントリーする考え方です。

たとえば、150.000をBreakoutしたあと、価格がまだその近くにある段階で参加します。

このタイミングでは、Breakoutの初動に近いところから参加できる可能性があります。

一方で、まだ確認できていないことも多く残っています。

水準を越えたあと、

  • そのまま外側で値動きが続くのか
  • すぐ元のレンジへ戻るのか

といった、その後の展開はまだほとんど見えていません。

つまり、

早く参加できる代わりに、突破後の情報が少ない

という特徴があります。

Break直後のエントリーは、「早いから優れている」のではありません。

まだ分からない部分を残したまま、早い段階で参加する選択です。

継続を確認してから入る

二つ目は、高値を抜いたあとも価格が外側で推移しているかなど、Breakout後の値動きを少し確認してからエントリーする考え方です。

Break直後より待つことで、

抜けてすぐレンジへ戻っていないか
外側で値動きが続いているか

といった情報を追加で見ることができます。

ただし、ここでいう「確認」に万能な基準があるわけではありません。

ローソク足が1本確定したら本物
終値で抜ければ成功

と一律に判断できるわけではなく、どこまで待つかは自分が何を確認したいのかによって変わります。

そして、確認している間にも価格は動きます。

Breakoutがそのまま進めば、Break直後と比べて、エントリーする位置が抜けた水準から離れることもあります。

あるいは、確認している間にそのまま伸びてしまい、参加できないケースもあります。

つまり、

追加の値動きを確認できる代わりに、エントリーが遅くなる可能性がある

というトレードオフです。

「待てば安全」なのではなく、何を確認するために待つのかを決めておくことが重要になります。

Retestを待って入る

三つ目は、Breakoutしたあとに一度戻ってくるのを待つ方法です。

ここでは、Retest(抜けた水準への戻り)として考えます。

たとえば、150.000を上へ抜けたあと、価格が一度上昇し、その後150.000付近まで戻ってきたとします。

Retestを待つことで、

抜けた水準へ戻ってきたとき、価格がどのような動きをするのか

を追加で観察できます。

ただし、Breakoutしたあとに必ずRetestが起こるわけではありません。

そのまま上昇を続ければ、待っている間に参加する機会そのものがなくなることもあります。

また、

Retestを待てば成功率が上がる
RetestしたBreakoutの方が本物

と普遍的に言えるわけでもありません。

今回確認した研究からも、Spot FX全般でRetest待ちがBreakoutの成功率を普遍的に高めると断定できるEvidenceは確認できていません。

Retestも、

「安全なエントリー方法」ではなく、戻り方を確認してから参加するという選択肢の一つ

として考える方が自然です。

ここまでの3つを並べると、違いが見えてきます。

Break直後
初動に近い段階で参加できる一方、突破後の情報はまだ少ない

継続確認後
突破後の展開を追加で確認できる一方、エントリーが遅くなることがある

Retest後
抜けた水準への戻り方を確認できる一方、Retestしなければ参加できない

どの方法にも、得られるものと失うものがあります。

エントリーするタイミングに万能な正解があるわけではありません。
「何を確認するために待つのか」と、その間に失う可能性のあるものを分けて考えます。

ここまで考えると、

「Breakoutしたから入るかどうか」だけではなく、「今の位置から参加する価値があるか」

という別の問題が見えてきます。

Breakoutそのものは続いていても、トレードとしては見送った方がよい場面もあります。

次は、その違いを考えていきます。

Breakoutしたのに、トレードしない方がいい場面はある?

ここまで見てきたように、Breakoutへの入り方にはいくつかの選択肢があります。

ただ、いつ入るかを決めるだけでは十分ではありません。

もう一つ確認したいのが、そのBreakoutへ、今から参加する価値があるのかという点です。

高値を抜いたあとも価格が上方向へ進み続けていれば、

Breakoutは成功しているように見える

かもしれません。

しかし、それだけで自分にとって良いトレードになるとは限りません。

たとえば、150.000を上へ抜けたあと、価格がすでに150.100、150.150と進んでいたとします。

Breakoutそのものは継続しています。

それでも、最初に注目していた水準から大きく離れたあとでエントリーを考えるのであれば、Break直後とは条件が変わっています。

まず確認したいのが、Invalidation(見方が崩れる水準)までの距離です。

高値を抜けたあと大きく上昇してから参加しようとすると、

どこまで戻ったら、このBreakoutの前提を見直すのか

という水準までの距離が大きくなることがあります。

その水準を基準に損切りを考えるのであれば、必要になる損切り幅も大きくなり得ます。

だからといって、損切り幅を小さくするためだけに、Breakoutの見方がまだ崩れていない場所へ都合よく損切りを近づければよいわけでもありません。

ここで考えたいのは、

価格が上がりそうかどうかだけではなく、自分が取るリスクとのバランスが合っているか

ということです。

たとえば、エントリーする位置から損切りまでの距離が大きい一方で、そこから先に期待する値幅が限られているのであれば、リスクリワードの条件は変わります。

Breakoutの方向がその後も合っていたとしても、

その位置から入るトレードとして条件が合っていたか

は別の評価になります。

さらに、実際のトレードではチャート上の価格だけを見るわけにはいきません。

Spread(スプレッド)やSlippage(スリッページ)などの取引コストも、実際の結果に影響します。

FXのテクニカル取引ルールを検証した研究でも、取引コストを考慮することで、確認された収益性が弱まるケースが報告されています。

つまり、

チャートでは狙った方向へ動いた

だから良いトレードだった

とは限りません。

エントリー価格、損切りまでの距離、リスクリワード、取引コストなどを含めて初めて、自分のトレードとして評価できます。

そして、もう一つ忘れたくないのが、自分の条件が揃っているかです。

Breakoutがきれいに伸びていると、

このまま行ってしまうかもしれない

と感じることもあります。

しかし、

  • 想定していたエントリー条件から外れている
  • すでに価格が大きく進んでいる
  • Invalidationまでの距離が自分の条件に合わない
  • リスクリワードが自分の基準に合わない
  • 取引コストを含めると条件が悪い

のであれば、Breakoutが続いていても見送るという判断があります。

Breakoutが成功しているように見えることと、今の位置から良いトレードができることは別です。
チャート上のBreakout評価と、自分のトレード条件を分けて考えます。

ここまでで、Breakoutの評価と、自分のトレードとしての評価は分けて考える必要があることが見えてきました。

では実際のチャートでは、何をどの順番で確認すればよいのでしょうか。

次は、Breakoutを見つけてからトレードを判断するまでの流れを、一つにつなげてみます。

実際のチャートでは、どう判断を組み立てる?

ここまで、Breakoutを見るときに確認したいことを一つずつ整理してきました。

実際のチャートでは、それらをバラバラに見るのではなく、一つの判断の流れとしてつなげていく必要があります。

たとえば、高値のBreakoutを考えるなら、

注目していた水準はどこか

その水準を突破したか

突破したあと、価格はどう動いているか

Breakout継続という見方をまだ維持できるか

自分のエントリー条件は揃っているか

Invalidationや損切り位置はどこか

Risk / Rewardや取引コストを含めても条件に合うか

エントリーを検討するか、見送るか

という順番で考えることができます。

重要なのは、途中のどこか一つだけを見て判断しないことです。

「高値を抜いた」だけでは、まだ判断プロセスの途中にいます。

実際の例で見てみましょう。

以下の価格や損切り幅などは、判断の流れを説明するための架空の数値です。
特定のエントリー条件や推奨値を示すものではありません。

Breakout継続――エントリーを検討する例

たとえば、150.000付近の高値を何度か確認しており、その水準をBreakoutする場面を見ていたとします。

価格は150.000を上へ抜け、その後もすぐレンジへ戻らず、150.030〜150.040付近で推移しています。

まず確認できるのは、

150.000を突破した
突破後も水準の外側にいる

という状態です。

ここで初めて、

「上方向へのBreakoutが継続しているという見方を、まだ維持できるか」

を考えます。

仮にこのトレーダーが、

149.980を下回るなら、今回見ていたBreakoutの前提を見直す

と考えていたとします。

すると149.980付近が、今回のInvalidation(見方が崩れる水準)になります。

さらに、150.030付近でエントリーを検討し、149.980付近を基準に損切りを考えるのであれば、その距離は約5pipsです。

ここでは、その損切りまでの距離が自分のリスク条件に合っているかを確認します。

実際のトレードでは、損切り・利確・ロット数まで含めてリスク管理を組み立てる必要があります。

ただし、許容する損失をどう決め、損切りまでの距離からロット数をどう調整するかといった具体的な方法は、ここでは深掘りしません。

Breakoutではまず、

方向だけではなく、リスク管理まで含めて参加条件を確認する

という点を押さえておきます。

次に利確候補を考えます。

仮に150.130付近を一つの利確候補として考えているなら、

  • エントリー候補:150.030
  • 損切り候補:149.980
  • 利確候補:150.130

となります。

この例では、損切りまで約5pips、利確候補まで約10pipsなので、取引コストを考慮する前のリスクリワードはおおよそ1:2です。

もちろん、

1:2なら必ずトレードする

という意味ではありません。

SpreadやSlippageなどの取引コスト、自分のリスク条件やエントリー条件も含めて確認したうえで、

このBreakoutへ参加する条件が揃っているか

を判断します。

ここまで確認して初めて、エントリーを検討する段階になります。

Breakoutは継続したが見送る例

では、同じ150.000のBreakoutでも、少し状況を変えてみます。

150.000を突破したあと、価格がそのまま勢いよく上昇し、気づいたときには150.180まで進んでいたとします。

チャートだけを見れば、

高値を抜いた

その後も上昇した

ので、Breakoutそのものは継続しています。

しかし、今から参加する条件は別です。

先ほどと同じように、149.980付近まで戻ればBreakoutの見方を見直すと考えているなら、150.180からInvalidationまでの距離は約20pipsあります。

さらに、仮にこの時点で考えている利確候補が150.250付近だったとすると、残っている値幅は約7pipsです。

この場合、

Breakoutは上方向へ継続している
しかし、今から参加すると損切りまでの距離が大きい
利確候補までの値幅はそれほど残っていない

という状態になります。

方向としては、その後さらに上昇するかもしれません。

それでも、

「上がるかもしれない」ことと、「今この位置から自分が取るトレードとして条件が合っている」ことは別です。

リスクリワードや取引コスト、自分のリスク条件を確認した結果、条件に合わないのであれば、

Breakoutが継続していても見送る

という判断ができます。

あとから価格がさらに上昇したとしても、それだけで見送りが間違いだったとは限りません。

トレード時点で確認できた情報と、自分が決めていた条件に基づいて判断したかどうかは、その後の値動きとは分けて考える必要があります。

Breakoutは「高値を抜いたらエントリー」という一つのSignalではありません。
水準の突破、その後の値動き、継続の見方、自分のエントリー条件、リスク管理、取引コストまで順番に確認する判断プロセスとして考えます。

ここまでを一つにつなげると、Breakoutで見ているものは、単に「Lineを越えた瞬間」だけではないことが分かります。

では結局、Breakoutでは何を見ているのでしょうか。

結局、Breakoutで見ているのは何なのか?

この記事は、

「高値を抜いたら買い」――なぜそんなトレードが成立する?

という疑問から始まりました。

チャートを見ていると、Breakoutはとても分かりやすく見えます。

高値を抜いた。
レンジの上限を越えた。
ラインの向こう側へ価格が進んだ。

だから、そのまま買えばいい。

最初はそんなふうに考えたくなるかもしれません。

でも、ここまで見てきたように、高値を抜いたという事実だけでは、その先の値動きまでは決まりません。

注目されていた水準を越えたことで、条件付き注文の発動や執行が関係することがあります。

新たな売買判断が加わり、Order Flowの状態が変化することもあります。

Quoteが見直され、Liquidityとの関係が変化する場合もあります。

そうした変化が一方向へ続けば、Breakout後の値動きがさらに伸びていくケースがあります。

反対に、水準を越えても勢いが続かず、元のレンジへ戻ってくることもあります。

つまり、Breakoutで本当に見たいのは、

「高値を抜いたかどうか」だけではなく、そのあと何が起きているのか

という部分です。

そして、もう一つ大切なのが、

そのBreakoutへ自分が参加する条件が揃っているか

という視点です。

その値動きが続いているのか。
どこまで戻れば見方を変えるのか。
リスク管理や取引コストまで含めても、自分の条件に合っているのか。

Breakoutでは、こうした点まで含めてトレードを考えていきます。

だから、

Breakoutした

ということと、

そのBreakoutへエントリーする価値がある

ということは、同じではありません。

Breakoutそのものが継続していたとしても、自分の条件に合わなければ見送ることもできます。

この記事の最初にあった、

「高値を抜いたら買い」

という見方は、ここまで来ると少し変わって見えるはずです。

大切なのは、

「高値を抜いた。そのあと何が起きている?」

と考えること。

Breakoutで見ているのは、ラインを越えた瞬間だけではありません。
水準を越えたあとの値動きと、自分が参加する条件まで含めて判断します。

「抜けた」という形だけに飛び乗るのではなく、
抜けたあと何が起きているのかを読み、自分のトレード判断へ変えていく。

それが、Breakoutを見るときに残しておきたい視点です。

そして、水準を越えたあと、そのまま進まず元の範囲へ戻ってきたときはどう考えるのか。

その「抜けて戻った側」の値動きは、Liquidity Sweepという別の視点から整理することができます。

あとがき

Breakoutをここまで追いかけてみると、一つの高値抜けから、いくつもの疑問がつながってきました。

高値を抜けたのに、そのまま走らず戻ってきたら?

そもそも、なぜその高値やラインが意識されていたのか。

そして実際に参加するなら、損切りやロット数をどう組み立てるのか。

ここから先は、どの疑問を追いかけるかで、見えてくる景色も変わってきます。

高値や安値を一度抜いたあと、価格が元の範囲へ戻ってくる。

Breakoutがそのまま継続しなかったとき、その値動きをどうトレード判断へ変えていくのか。

「抜けて戻る側」をもう少し追いかけてみたい方はこちらです。

今回の記事では、何度も「注目していた水準」が登場しました。

でも、そもそもなぜ一本のラインや過去の高値・安値が意識され、そこで価格が反応することがあるのでしょうか。

Breakoutの入口そのものを、もう一段深く掘るテーマです。

<関連記事カード>レジスタンス / サポート ※予定

そして、もう一つ考えたいのがリスク管理です。

方向が合っているだけでは、良いトレードになるとは限りません。

損切りまでの距離、許容できる損失、ロット数、リスクリワード。

Breakoutの記事では「参加する条件」として触れましたが、それらを実際のトレードでどう組み立てるのかは、もう一つ別の大きなテーマになります。

<関連記事カード>リスク管理 ※予定

Breakoutをきっかけに、

「抜けたかどうか」から「そのあと何が起きているか」へ。

その先では、

なぜその水準を見るのか。
戻ってきたらどう考えるのか。
自分はどの条件で参加するのか。

という新しい疑問につながっていきます。

気になる扉から、もう少し先へ進んでみてください。

主要資料・出典

本記事では、Support / Resistanceとして意識される価格水準、Stop LossやTake Profitなどの注文が特定の価格周辺へ集中し得ること、Stop発動によって短期的な値動きが増幅される場合があること、Breakoutを含むTechnical Trading Ruleの検証結果、Transaction Costがトレード結果へ与える影響などについて、主に以下の業界資料・学術Researchを参考にしています。

主要資料

Global Foreign Exchange Committee|FX Global Code
Stop Loss Orderにはtriggerやreference price、execution relationshipなどによって異なる形態があり、Stopが発動したあとの処理を一律には扱えないことを確認するために参照。
https://www.globalfxc.org/fx-global-code/
Carol Osler|Support for Resistance: Technical Analysis and Intraday Exchange Rates
FX市場で提示されたSupport / Resistanceの水準にIntradayで一定の予測力が確認された一方、その結果は通貨や提供元によって異なり、すべての水準へ一般化できないことを確認するために参照。
https://www.newyorkfed.org/research/epr/00v06n2/0007osle.html
Carol L. Osler|Currency Orders and Exchange-Rate Dynamics: Explaining the Success of Technical Analysis
大手FXディーリング銀行の注文データをもとに、Stop LossやTake Profitの指定価格がRound Number周辺へ集中する傾向や、Support / Resistance突破後に値動きが強まる場合がある仕組みを確認するために参照。
https://www.newyorkfed.org/research/staff_reports/sr125.html
C. L. Osler|Stop-Loss Orders and Price Cascades in Currency Markets
Stop Lossが連続して発動することで、短期的な値動きが増幅され、Price Cascadeへ寄与する場合があることを確認するために参照。
https://www.newyorkfed.org/research/staff_reports/sr150.html

関連研究・補足資料

Min Qi / Yangru Wu|Technical Trading-Rule Profitability, Data Snooping, and Reality Check: Evidence from the Foreign Exchange Market
Channel Breakoutを含む多数のTechnical Trading Ruleを検証し、Data-snoopingを考慮すると結果の評価が変わることや、より新しい期間では収益性が弱まるケースを確認するために参照。
https://www.researchwithrutgers.org/en/publications/technical-trading-rule-profitability-data-snooping-and-reality-ch/
Jerry Coakley / Michele Marzano / John Nankervis|How profitable are FX technical trading rules?
多数のFX Technical Trading Ruleを対象とした検証から、Data-snoopingを調整した場合や、より新しいSampleでは有意なRuleが大きく減ることを確認するために参照。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1057521916300400
Riccardo Curcio / Charles Goodhart / Dominique Guillaume / Richard Payne|Do Technical Trading Rules Generate Profits? Conclusions from the Intra-day Foreign Exchange Market
Intraday FXにおけるTechnical Trading Ruleの収益性を検証し、Transaction Costを考慮すると結果が弱まる場合があることを確認するために参照。
https://ideas.repec.org/a/ijf/ijfiec/v2y1997i4p267-80.html

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