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「Liquidityを食いに行った」とは何か?高値を抜いて戻るLiquidity Sweepで考えるトレード戦略!

目次

「価格はLiquidityを食べに行く」って、どういうこと?

FXのチャート解説を見ていると、

「上にLiquidityがある」
「高値のLiquidityを取りに行った」
「Liquidityを食ってから戻ってきた」

といった表現を目にすることがあります。

ある程度チャートを見てきた人なら、なんとなくイメージできる言葉かもしれません。

たとえば、分かりやすい例が直近の高値です。

価格がその高値を上抜いた場面を見て、

「上にあったLiquidityを食いに行ったんだな」

と考えたことがある人もいるでしょう。

ただ、ここで少し気になることがあります。

そもそも、その「Liquidity」はチャートのどこにあるのでしょうか?

高値の少し上に何かが表示されているわけでもなければ、「ここにLiquidityが○Lotあります」と通常のチャートが教えてくれるわけでもありません。

それなのに、トレーダーはなぜ「Liquidityを食いに行った」と表現するのでしょうか。

「上にLiquidityがある」って、何を指している?

まず整理しておきたいのは、Liquidity(流動性)という言葉です。

トレードの会話では、

「高値の上にLiquidityがある」

という表現が使われることがあります。

そこから、

高値の上にあるStop Loss = Liquidity

というイメージを持ちやすいのですが、これは少し単純化しすぎています。

Liquidityは、本来Stop Lossという一種類の注文だけを指す言葉ではありません。取引のしやすさや、取引による価格への影響などにも関わる、もっと広い市場の概念です。

一方、一部のトレード解説では、Stop Lossなど注文が関係し得ると考えられる価格帯を指して「Liquidityがある」と表現することがあります。

この二つを同じ意味だと思ってしまうと、

高値の上にはStop Lossがある

だからそこにはLiquidityがある

価格はそのLiquidityを取りに行く

という説明が、そのまま市場の仕組みのように見えてしまいます。

LiquidityとStop Lossは同じものではありません。「Liquidityがある」というトレード上の表現と、市場全体のLiquidityは分けて考えます。

価格がLiquidityを探して動いている?

もう一つ気になるのが、

「価格はLiquidityを取りに行く」

という言い方です。

言葉どおり受け取ると、まるで価格が、

「この上にLiquidityがあるから、そこまで上がろう」

と場所を知って動いているようにも聞こえます。

もちろん、価格そのものに意思があるわけではありません。

価格は、注文やQuote(提示価格)の変化、取引の成立など、さまざまな要素が関わるなかで動いています。

「Liquidityを取りに行く」とは、ある価格帯へ向かう値動きを説明するトレード上の表現として受け取った方がよいでしょう。少なくとも、価格そのものがLiquidityの場所を知り、そこを目指しているという意味ではありません。

つまり、

「Liquidityを食いに行った」という言葉を知っていることと、その裏で何が起きているのかを理解していることは別

ということです。

「価格はLiquidityを探して動く」を、そのまま価格変動の法則として扱わないことが大切です。

では、トレーダーが「上にLiquidityがある」と話すとき、実際にはチャートのどこを見ているのでしょうか。

そもそもLiquidityは、チャートから見つけることができるのでしょうか?

そのLiquidityは、チャートのどこにある?

結論から見ると、通常の価格チャートにSpot FX全体のLiquidityそのものが表示されているわけではありません。

チャートに見えているのはPrice Action

通常のローソク足から確認できるのは、価格がどこまで動き、どこで止まり、どの価格帯で反応したのかというPrice Actionです。

一方で、

「この価格帯には、どれくらい注文が待っているのか」
「どこに、どれくらいStop Lossが置かれているのか」

Spot FX(外国為替スポット市場)は、一つの中央取引所にすべての注文が集まる市場ではありません。

といった市場全体の注文状況まで、通常のチャートから直接確認できるわけではありません。

取引は複数のVenue(取引の場/取引基盤)や取引関係に分かれているため、どこか一つのOrder Book(注文板/注文簿)を見れば、Spot FX全体の注文状況が分かるという構造ではないのです。

通常のチャートから見えているのはPrice Actionです。市場全体のLiquidityを、そのまま地図のように見ているわけではありません。

では、Liquidityが直接見えないのであれば、トレードでは何を手がかりにするのでしょうか。

Price Actionから「観察する場所」を絞る

そこでTraderは、チャート上で確認できるPrice Actionを手がかりに、観察する価格帯を絞っていくことになります。

たとえば、

「この価格帯は、この先のPrice Actionを見るうえで観察しておきたい場所ではないか」

と考えるところから始まります。

チャート上に線を引いたからといって、

「ここにLiquidityがある」

と確認できたわけではありません。

あくまで、

「ここは観察しておきたい価格帯ではないか?」

という仮説を立てている段階です。

チャート上の価格帯と、実際の市場全体の注文量をそのまま同一視することはできません。

つまり、チャートから直接Liquidityを探すのではなく、Price Actionを手がかりに「どこを観察するか」を考えていくことになります。

では、その観察候補として、なぜトレーダーは数ある価格帯の中でも「直近の高値/安値」に目を向けるのでしょうか。

なぜトレーダーは「直近の高値/安値」に注目するのでしょうか?

なぜ「直近の高値/安値」が注目される?

Liquidityそのものは、通常のチャートから直接見ることができません。

では、トレーダーは何を目印にしているのでしょうか。

その中でも分かりやすいのが、直近の高値/安値です。

直近の高値/安値は、チャート上で見つけやすい

チャートを見ていると、

「ここまで上がって、一度戻された」
「ここまで下がって、そこから切り返した」

という場所があります。

それが、直近の高値/安値です。

特別なインジケーターを使わなくてもチャート上で確認できるため、トレーダーにとって値動きを見る一つの目印になります。

たとえば、直近の高値を見ながら、

「ここを上に抜けたら、さらに上へ進むかもしれない」

と考えるトレーダーもいるでしょう。

反対に、すでに売りで入っているトレーダーなら、

「ここを上に抜けたら、自分の読みが違っていたかもしれない」

と考えるかもしれません。

同じ高値を見ていても、トレーダーによって考えていることや注文の置き方は違うことがあります。

そのため、直近の高値/安値を、

「ここでは必ず何かが起こる場所」

と考える必要はありません。

むしろ、

「ここまで価格が来たら、そのあとの動きをよく見ておきたい」

という観察ポイントとして捉える方が自然です。

「直近の高値=Liquidity」ではない

ここで一つ、区別しておきたいことがあります。

直近の高値が目立っているからといって、

「高値の上には必ず大量のStop Lossがある」

とは限りません。

実際、Stop Lossなどの注文が特定の価格水準に集中することがある、という研究もあります。

ただし、それは、

「すべての直近高値/安値の外側に、大量の注文がある」

ことを意味しているわけではありません。

通常のチャートを見ただけでは、その周辺にどれくらい注文があるのかまでは分からないからです。

つまり、

直近の高値がある

そこに大量のStop Lossがある

だからLiquidityがある

と、最初から決めつけるのは少し早いということです。

直近の高値/安値はLiquidityそのものではなく、そのあとのPrice Actionを観察するための分かりやすい基準の一つです。

大切なのは、

「ここにLiquidityがあるはずだ」

と決めることではありません。

見るのは、

「価格がこの水準まで来たとき、そのあとどう動くのか?」

です。

では実際に、価格が直近の高値まで上昇し、そのまま上へ抜けたとします。

チャートを見れば、

「高値を抜けた。Breakoutだ」

と考えたくなる場面です。

でも、この時点でそう判断してよいのでしょうか。

直近の高値を抜いた…それだけで「Breakoutした」と判断してよいのでしょうか?

直近の高値を抜いた…これはBreakout?

直近の高値まで上昇してきた価格が、その水準を越えました。

チャートを見ていると、

「高値を抜けた。Breakoutしたのでは?」

と考えたくなる場面です。

ここで一度分けて考えたいのが、

「何が起きたのか」

「それをどう解釈するのか」

です。

この時点で分かるのは「高値を抜いた」ということ

たとえば、直近の高値が150.000だったとします。

そのあと価格が150.010まで上昇したなら、

直近の高値150.000を上抜いた

ということは確認できます。

ここまでは、チャートに表れている事実です。

しかし、この動きだけを見て、

「Breakoutが始まった」
「このまま上へ伸びる」
「高値のLiquidityを取った」
「SLが狙われた」

といったところまで決めることはできません。

高値を抜いたという事実と、その動きをどう解釈するかは別だからです。

まず確認できるのは「直近の高値を抜いた」というPrice Action。そこから先の意味づけは、まだ一つに決まりません。

すぐに「Breakout」と決めなくてもいい

トレードでは、目立つ値動きが起こると、すぐに意味をつけたくなることがあります。

高値を抜けば、

「Breakoutだ」

と考えたくなるのも、その一つです。

ただ、高値を抜いたその瞬間には、まだその先の値動きは見えていません。

だからこそ、この場面では急いで名前をつけるより、

「このあと、価格はどう動くのだろう?」

と、もう少しPrice Actionを見てみます。

上へ抜けたあとも、その動きが続くのか。

それとも、思っていたのとは違う動きになるのか。

「高値を抜いた」という一つの動きだけで、その後の方向や背景まで決めつけないことが大切です。

では、高値を抜いた価格が、そのまま上へ進まずに戻ってきたらどうでしょうか。

さっきまで、

「Breakoutかもしれない」

と見えていたチャートが、少し違って見えてきます。

高値を抜いたのに、そのあと元の価格帯へ戻ってきた…この動きをトレーダーはどう捉えるのでしょうか?

高値を抜いたのに戻ってきた…この動きは何?

直近の高値を上へ抜けた価格が、そのまま伸びずに戻ってきました。

少し前まで、

「Breakoutかもしれない」

と見えていた場面です。

ところが、その高値の外側にとどまらず、価格は再び元の価格帯へ戻ってきました。

こうなると、最初に高値を抜いたときとはチャートの見え方が少し変わってきます。

高値を抜いて、元の価格帯へ戻ってくる

たとえば、先ほどと同じように直近の高値が150.000だったとします。

価格が150.010、150.020と高値の外側へ進んだあと、再び150.000を下回ってきた。

チャートから確認できるのは、

直近の高値を一度上抜いたものの、その外側にとどまらず戻ってきた

というPrice Actionです。

トレードの解説では、このように意識される価格帯を一度越えたあと、その外側を維持せず戻ってくるPrice Actionを「Liquidity Sweep」と呼ぶことがあります。

「高値のLiquidityをSweepした」

と表現されることもあります。

ただし、ここで大切なのは、

Liquidity Sweepという名前がついたからといって、チャート上でLiquidityそのものを確認できたわけではない

ということです。

前の章まで見てきたように、通常のチャートから市場全体の注文状況を直接確認することはできません。

そのため、

高値を抜いて戻った

「Liquidity Sweep」と呼ばれることがある

だからといって、実際のLiquidityの量や位置まで確認できたわけではない

というところは分けて考えます。

Liquidity Sweepは、Liquidityそのものが見えたという意味ではなく、高値/安値など意識される価格帯を越えたあとのPrice Actionを捉えるトレード上の見方の一つです。

「戻ってきた」だけでストップ狩りとも言えない

もう一つ、ここで混同しやすいものがあります。

高値を抜いたあとに価格が戻ってくると、

「上にあったSLを狩ってから落ちた」
「ストップ狩りだった」

と説明されることがあります。

たしかに、見た目だけならそう感じる場面もあるでしょう。

ただし、

高値を抜いて戻ってきた

というPrice Actionから、

誰かがトレーダーのSLを狙って価格を動かした

という意図まで確認することはできません。

ここで分けて考えたいのは、

「その周辺でSLが発動したかもしれない」ことと、
「誰かがそのSLを狙って価格を動かした」ことは別

という点です。

Liquidity Sweepという言葉だけから、「誰かがSLを狙った」「その価格帯に大量の注文があった」と背景まで決めつけないようにします。

ここまでで、チャート上では、

直近の高値を抜いたあと、元の価格帯へ戻ってきた

という新しい動きが見えてきました。

そして、このようなPrice ActionをLiquidity Sweepとして見ることがあります。

では、ここで一つ疑問が残ります。

高値を抜いた瞬間だけを見れば、BreakoutもLiquidity Sweepも同じように始まっているように見えます。

Liquidity SweepとBreakoutは、いったいどこを見て分ければよいのでしょうか?

Liquidity SweepとBreakout、何が違う?

直近の高値を抜いた瞬間だけを切り取ると、BreakoutとLiquidity Sweepはよく似ています。

どちらも最初に見えているのは、

「価格が直近の高値を上抜いた」

というPrice Actionだからです。

では、どこを見れば違いが見えてくるのでしょうか。

抜いた瞬間だけでは、まだ分からない

たとえば、直近の高値が150.000だったとします。

価格が150.010まで上昇した瞬間にチャートを止めたら、

このまま150.050、150.100と上へ進むのか
それとも150.000を下回って戻ってくるのか

その先はまだ分かりません。

つまり、この時点で、

「これはBreakout」
「これはLiquidity Sweep」

と確定することはできないわけです。

同じ「高値を抜いた」というスタートから、その後のPrice Actionが分かれていきます。

見るのは、高値を抜いた「あと」

では、その後までチャートを進めてみます。

高値を抜いたあとも、その水準の外側でPrice Actionが続いていくなら、Breakoutとして捉える一つの材料になります。

一方、

高値を上抜く

その外側にとどまらない

再び元の価格帯へ戻ってくる

というPrice Actionなら、前の章で見たLiquidity Sweepとして捉えることがあります。

ここで重要なのは、高値を抜いた幅そのものだけではありません。

150.001までしか抜かなかったのか、150.020まで伸びたのか。

それだけを見て、

「浅いからLiquidity Sweep」
「大きく抜けたからBreakout」

と機械的に分けられるわけではありません。

見るべきなのは、そのあと価格が高値の外側を維持するのか、それとも元の価格帯へ戻ってくるのかというPrice Actionです。

抜いたことより、そのあと価格がその水準をどう扱ったかを見る。

「ヒゲで戻ったらLiquidity Sweep」でもない

ここで、もう一つ気をつけたいところがあります。

チャート上では、

「高値をヒゲだけで抜いて戻った」

という形を見ることがあります。

たしかに、Liquidity Sweepとして見られる場面の一つです。

ただし、

ヒゲで高値を抜いた = Liquidity Sweep

と形だけで決める必要はありません。

時間足や見る価格帯によって、同じ値動きでもローソク足の見え方は変わります。

そのため、ヒゲの形だけを見るのではなく、高値を抜いたあとにどんなPrice Actionが続いたのかまで見ることが大切です。

False Breakoutとは同じもの?

Liquidity Sweepとよく似た言葉に、False Breakoutがあります。

どちらも、

「いったん高値/安値を抜いたものの、そのまま外側へ進まなかった」

というPrice Actionを指す場面で使われるため、見た目が重なることがあります。

ただし、これらの言葉に市場全体で統一された一つの使い方があるわけではありません。

そのため、名称だけを細かく分けることよりも、

どの価格帯を抜いたのか
抜いたあと、その水準の外側でどんなPrice Actionが続いたのか
再び元の価格帯へ戻ってきたのか

という実際のPrice Actionを見る方が、トレードでは使いやすくなります。

BreakoutかLiquidity Sweepかを「高値を抜いた瞬間」だけで決めるのではなく、その後のPrice Actionまで含めて考えます。

ここまで来ると、次の疑問が出てきます。

高値を抜いたあと、元の価格帯へ戻ってきた。

そして、

「Liquidity Sweepかもしれない」

と考えた。

では、その瞬間に売りでエントリーすればよいのでしょうか。

Liquidity Sweepをトレードに使うなら、何を確認してからエントリーを考えればよいのでしょうか?

では、Liquidity Sweepでエントリーするならどう考える?

ここまでで、

直近の高値を抜いたあと、元の価格帯へ戻ってきた

というPrice ActionをLiquidity Sweepとして見る考え方まで整理してきました。

では、実際のトレードではどう使えばよいのでしょうか。

高値を抜いて戻ってきたのを見た瞬間に、

「Liquidity Sweepだ。売ろう」

とエントリーすればよいのでしょうか。

ここから大切になるのは、Liquidity Sweepを見つけることと、エントリーを決めることを分けて考えることです。

Liquidity Sweepを見つけた=エントリーではない

たとえば、直近の高値を一度上抜いたあと、価格がその高値の内側へ戻ってきたとします。

この時点でトレーダーが考えられるのは、

「Breakoutとして上へ進むのではなく、Liquidity Sweepとして見ることができるかもしれない」

という一つのトレード仮説です。

ただ、それだけで売りエントリーが決まるわけではありません。

なぜなら、そのあと価格がもう一度上昇し、高値の外側へ戻っていく可能性もあるからです。

そこで、

「何が起きたら、自分は売りエントリーを検討するのか?」

を考えます。

たとえば、

高値の内側へ戻るところまで確認する
戻ったあと、さらに下方向へ進むPrice Actionを確認する
自分が見ている時間足で、一定の形ができるまで待つ

といった確認方法が考えられます。

どれか一つが正解というわけではありません。

大切なのは、Liquidity Sweepとして見られるPrice Actionを確認したあと、自分が何を確認したらエントリーを検討するのかを決めておくことです。

Liquidity Sweepを確認しただけで、Entryが決まるわけではありません。
「どの価格帯を抜いたか」→「どう戻ったか」→「そのあと何を確認するか」という順番で考えます。

エントリーの根拠と、「読みが崩れる条件」をセットで考える

エントリーを考えるときに、もう一つ決めておきたいことがあります。

それが、

「何が起きたら、このLiquidity Sweepという見方をやめるのか?」

です。

たとえば、

「高値を抜いて元の価格帯へ戻ったので、Liquidity Sweepとして売り方向を考えている」

という仮説を立てたとします。

ところが、そのあと価格が再び上昇し、

高値の外側でPrice Actionが続く

ようになったらどうでしょうか。

最初に考えていた、

「高値の外側を維持できず戻ってきた」

という前提とは、少し状況が変わってきます。

このように、

Entryする理由

その理由が崩れたと考える条件

をセットで考えておくと、Liquidity Sweepを単なる「反転パターン」として見るだけではなくなります。

「Liquidity Sweepが出たから反転する」と決めつけるのではなく、自分の見方が崩れるPrice Actionもあらかじめ考えておきます。

SLは「何pips離すか」から決めなくてもいい

ここでSLの考え方にもつながります。

たとえば、

「SLは10pips」
「SLは20pips」

と距離から先に決める方法もあります。

ただ、Liquidity Sweepをトレードの根拠にするのであれば、先に考えたいのは、

「何が起きたら、自分が考えていたLiquidity Sweepのトレード仮説が崩れたと判断するか?」

です。

その価格帯を決めたうえで、

そこまでの距離はどれくらいあるのか
自分が許容できるリスクに収まるのか
ポジションサイズをどうするのか

を考えていきます。

つまり、

SLを何pipsにするか
より先に、
どこまで来たら自分の読みを撤回するのか

を考えるということです。

SLを距離だけで決めるのではなく、「どこまで来たらトレード仮説が崩れるか」と自分のリスク管理を組み合わせて考えます。

TPもLiquidity Sweepだけでは決まらない

同じことはTPにも言えます。

Liquidity Sweepを見つけたからといって、

「ここまで下がる」

という到達点まで自動的に決まるわけではありません。

どこで利益を確定するかは、

その先のPrice Action
チャート上で意識している価格帯
自分が採用しているリスク/リワード
ポジションの管理方法

など、トレーダーの方針によって変わります。

そのためLiquidity Sweepは、

Entry・SL・TPをすべて自動的に決めてくれるパターン

ではありません。

むしろ、

どこを観察するか

何を確認するか

どこでエントリーを検討するか

何が起きたら読みを撤回するか

そのうえでSL・TPをどう組み立てるか

というトレードの流れの中で使う、一つの判断材料です。

そして条件が揃わなければ、

Entryしない

という判断も残ります。

ここまで整理すると、Liquidity Sweepを見ること自体よりも、そのあとどう判断を組み立てるかの方が重要だと分かってきます。

では、実際のチャートを前にしたとき、この考え方をどんな順番で当てはめればよいのでしょうか。

実際のチャートでは、どの順番でLiquidity Sweepのトレード判断を組み立てればよいのでしょうか?

実際のチャートでは、どう判断を組み立てる?

では、ここまでの考え方を一つのチャート場面に当てはめてみます。

今回は分かりやすく、

直近の高値を一度上抜いたあと、元の価格帯へ戻ってくる場面

を例にします。

もちろん、実際のトレードでは通貨ペアや時間足、相場環境によって見え方は変わります。

ここでは「どこで売るのが正解か」ではなく、トレーダーがどの順番で判断を組み立てられるのかを追ってみます。

① まず、観察する価格帯を決める

たとえば、チャート上に150.000という直近の高値があったとします。

価格は少し下から上昇してきています。

この時点では、

「150.000を抜いたら売る」

と決める必要はありません。

まず考えるのは、

「150.000まで来たら、そのあとのPrice Actionを見てみよう」

ということです。

つまり、150.000はEntry価格ではなく、観察を始めるための基準です。

そして実際に価格が150.000へ近づいてきたら、

そのまま手前で反落するのか
一度上へ抜くのか
抜いたあとも外側で動き続けるのか

を見ていきます。

② 高値を抜いても、まだEntryしない

価格が150.000を上抜き、150.020まで上昇したとします。

ここで確認できるのは、

直近の高値を上抜いた

というPrice Actionです。

まだ、

「Breakoutだ」
「Liquidity Sweepだ」

と決める必要はありません。

さらにPrice Actionを見ていると、価格は150.020から下落し、再び150.000を下回ってきました。

ここで初めて、

「高値の外側を維持せず、元の価格帯へ戻ってきた」

という新しい情報が加わります。

この動きを見て、

「Liquidity Sweepとして売り方向を検討できる場面かもしれない」

というトレード仮説を立てることができます。

ただし、まだエントリーするかどうかは別です。

③ 自分のEntry条件を確認する

ここからはトレーダーによって判断が分かれます。

たとえば、

A:150.000を下回ったところを確認条件にする

というトレーダーもいるでしょう。

一方で、

B:ローソク足が150.000の内側でCloseするまで待つ

という考え方もあります。

さらに、

C:高値の内側へ戻ったあと、下方向のPrice Actionが続くところまで確認する

というトレーダーもいるかもしれません。

どれを使うかは、そのトレーダーのトレード方針によります。

確認を多くすれば、その分Entryは遅くなることがあります。

反対に、早くエントリーすれば、まだ自分の確認条件が十分に揃っていない段階で入る可能性もあります。

ここで重要なのは、

「Liquidity Sweepっぽく見えたからエントリー」

ではなく、

「自分は何を確認したらエントリーを検討するのか」

をあらかじめ決めておくことです。

同じLiquidity Sweepを見ても、エントリーのタイミングは一つではありません。大切なのは、自分が何を確認条件にしているのかを明確にすることです。

④ Entryするなら、先に「どこで読みが崩れるか」を考える

仮に、自分の確認条件を満たしたため、売りエントリーを検討するとします。

ここで次に考えるのは、

「この見方が間違っていたと判断するのは、どんなPrice Actionか?」

です。

たとえば、

150.000の内側へ戻ったあと、再び高値を上抜く
そのまま高値の外側でPrice Actionが続く

のであれば、

「高値の外側を維持できなかった」

という最初の見方を見直す理由になります。

そのためトレーダーによっては、

一度高値を上抜いた際につけた150.020を再び上抜いたら撤回する
高値の外側で一定のPrice Actionが続いたら撤回する
自分が見ている時間足で、外側にCloseしたら撤回する

といった条件を設定することができます。

ここにも、一つの正解があるわけではありません。

大切なのは、

エントリーしたあとにSLを考えるのではなく、エントリーする前に「どこで自分の読みを捨てるのか」を考えておく

ことです。

⑤ その失効条件をSLとリスク管理へ落とし込む

読みが崩れる価格帯を考えたら、そこからSLを検討できます。

たとえば、

エントリー位置から失効条件まで8pips
エントリー位置から失効条件まで20pips

では、同じPosition Sizeでエントリーしたときのリスクは変わります。

そこで、

SLまでの距離
許容する損失
Position Size

を組み合わせて考えます。

つまり、

「トレード仮説が崩れる位置をもとにSLを考え、その距離に合わせてPosition Sizeを調整する」

という順番も考えられるわけです。

反対に、

「いつも1Lotだから、SLはこの距離までしか置けない」

としてしまうと、トレード仮説とは関係のない場所にSLを置くことになる場合があります。

Entry・SL・Position Sizeは別々に決めるのではなく、「どこで読みが崩れるか」と許容リスクをつなげて考えます。

⑥ TPは「次に何を見るか」から考える

エントリーできたとしても、まだトレードは終わりではありません。

次は、

「どこまで下がると考えるのか?」

を考えます。

ここでもLiquidity Sweepだけで答えが決まるわけではありません。

たとえば、

次に意識している安値
途中で反応している価格帯
自分が設定しているリスク/リワード
その後のPrice Action

などを見ながら、利益確定を考える方法があります。

途中でPrice Actionが変われば、当初のTPまで持たない判断もあるでしょう。

反対に、自分のトレードルールとして最初に決めたTPまで保有する方法もあります。

ここも、どちらが正解という話ではありません。

⑦「トレードしない」まで含めて判断する

そして、もう一つ忘れたくないのが、

条件が揃わなければトレードしない

という選択です。

たとえば、

高値を抜いたものの、内側へ戻ってこない
戻ってきたものの、自分のEntry条件を満たさない
エントリーできそうでも、SLまでの距離が大きすぎる
想定するTPとのバランスが自分の基準に合わない

のであれば、そのLiquidity Sweepを見送ることもできます。

Liquidity Sweepとして見られる動きを見つけること自体が目的ではありません。

大切なのは、その場面を自分のトレード条件に当てはめ、トレードするのか、しないのかまで判断することです。

チャート上でLiquidity Sweepとして見られる動きがあっても、それだけでトレードする必要はありません。自分のEntry・失効・リスク管理の条件が揃っているかまで確認します。

ここまでの流れを整理すると、

観察する価格帯を決める

高値/安値を抜いたあとのPrice Actionを見る

Liquidity Sweepとして見られるか考える

自分のEntry条件を確認する

読みが崩れる条件を決める

SL・Position Size・TPを組み立てる

トレードする/見送るを判断する

という順番になります。

Liquidity Sweepは、この流れの途中にある一つの判断材料です。

では、ここまで追ってきた、

「価格はLiquidityを食べに行く」

という最初の言葉は、トレードの視点から見ると結局何を意味していたのでしょうか。

ここまでのPrice Actionとトレード判断を踏まえると、「Liquidityを食べに行く」という言葉をどう捉えればよいのでしょうか?

結局、「Liquidityを食べに行く」とは何だったのか?

ここまで、

「価格はLiquidityを食べに行く」

という言葉から始めて、直近の高値/安値、Breakout、Liquidity Sweep、そして実際のトレード判断まで見てきました。

最初は、

「高値の上にLiquidityがあって、価格がそこを取りに行く」

というイメージだったかもしれません。

しかし、ここまで見てくると、この言葉をそのまま市場の仕組みとして受け取る必要はないことが分かります。

「Liquidityを食べに行く」は、価格の意思を表しているわけではない

価格が、

「あそこにLiquidityがあるから、そこまで動こう」

と考えているわけではありません。

また、通常の価格チャートを見ただけで、

「この高値の上に、これだけのLiquidityがある」

と確認できるわけでもありません。

トレーダーが実際にチャートから確認できるのは、

どこで価格が反応したのか
どの価格帯を観察するのか
その水準を抜いたあと、どんなPrice Actionが続いたのか

といった値動きです。

そのため、

「Liquidityを食べに行った」

という言葉は、ある価格帯へ向かい、そこを越えていくPrice Actionを捉えるトレード上の表現として考える方が自然です。

「Liquidityを食べに行く」は、価格がLiquidityの場所を知って動いているという意味ではありません。チャート上のPrice Actionを捉えるためのトレード上の表現として考えます。

大切なのは「Liquidityがあったか」だけを考えることではない

たとえば、直近の高値を価格が上抜いたとします。

その場面で、

「高値のLiquidityを取った」

と表現されることがあります。

ただ、トレードで本当に見たいのは、そこで説明を終わらせることではありません。

重要なのは、そのあとです。

高値の外側でPrice Actionが続くのか
それとも元の価格帯へ戻るのか

によって、チャートの見方は変わります。

外側で動き続けるのであれば、Breakoutとして考える材料になるかもしれません。

一方で、高値を一度上抜いたものの、その外側を維持せず元の価格帯へ戻ってくる。

そうしたPrice Actionを、Liquidity Sweepとして見ることがあります。

つまり、

「Liquidityを食べた」と名前をつけることより、抜いたあとに価格がその水準をどう扱ったのかを見る。

ことの方が、トレード判断にはつなげやすくなります。

Liquidity Sweepは「反転を当てるパターン」ではない

ここも、この記事で最後に整理しておきたいところです。

Liquidity Sweepとして見られるPrice Actionが出たからといって、

「ここから必ず反転する」

わけではありません。

実際のトレードでは、

どの価格帯を観察するのか
その水準をどう抜いたのか
どこまで戻ったのか
何を確認したらエントリーを検討するのか
何が起きたら読みを撤回するのか

まで考えていきます。

そして、条件が揃わなければ、

トレードしない

という判断もあります。

だからLiquidity Sweepは、

見つけたら反転を狙うパターン

というより、

意識している価格帯を抜いたあと、次に何を確認するのかを組み立てるためのトレードの視点

として使うことができます。

「Liquidityを食べに行く」を、次のチャートでどう見る?

これからチャートを見ていて、

「上のLiquidityを取りに行きそう」
「高値のLiquidityを食った」

という言葉を見かけたときは、そこで説明を終わらせず、

どの価格帯を見ている?
なぜそこを観察している?
実際にその水準を抜いたあと、価格はどう動いた?
外側を維持している? それとも戻ってきた?
自分がエントリーを考えるなら、何を確認する?
何が起きたら、その読みを捨てる?

と一つずつ見ていくことができます。

そうすると、

「Liquidityを食べたから反転した」

という一言でチャートを見るのではなく、

「どこを観察し、抜いたあと何が起き、その結果どう判断するのか」

というトレードの流れへ変わっていきます。

形を覚えるだけではトレードにはなりません。どこで待ち、何を確認し、どこで読みを捨てるのかまで考えて、初めて自分のトレードになります。

Liquidity Sweepは、未来の値動きを教えてくれる答えではありません。

しかし、

高値/安値を抜いたPrice Actionを、どのように観察し、どのようにトレード判断へ変えていくのか。

その考え方を整理する、一つの材料にはなります。

あとがき

今回追ってきたのは、

「価格はLiquidityを食べに行く」とは何を意味し、Liquidity SweepをTrading判断へどう落とし込めばよいのか?

という疑問でした。

直近の高値/安値を抜いたからといって、それだけでBreakoutともLiquidity Sweepとも決まりません。

大切なのは、

どの価格帯を観察していたのか
抜いたあと、価格がその水準をどう扱ったのか
何を確認したらエントリーを検討するのか
何が起きたら、その読みを撤回するのか

まで考えることです。

Liquidity Sweepは、見つけたら反転を狙うための完成されたSignalではありません。

では、この値動きを別の角度から見るとどうでしょうか。

高値・安値を抜いて戻る動きは、

本当に誰かがトレーダーのStopを狙った結果なのでしょうか。

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主要資料・出典

本記事では、Spot FXがOTCを中心とした分散市場であること、Stop Lossなどの注文が特定の価格水準へ集中し得ること、Stop発動によって短期的なPrice Movementが増幅され得ること、Liquidityという概念の意味、Market ParticipantによるStop Orderの取扱いなどについて、主に以下の公的資料・学術Researchを参考にしています。

主要資料

Bank for International Settlements(BIS)|The FX trade execution landscape through the prism of the 2025 BIS Triennial Survey
Spot FXを含むFX市場がOTCを中心とした分散・断片化した構造であり、多くの取引がInternalizationなどによって市場全体から見えにくいことを確認するために参照。
https://www.bis.org/publications/global-fx-markets-when-hedging-takes-centre-stage
Carol L. Osler|Currency Orders and Exchange-Rate Dynamics: An Explanation for the Predictive Success of Technical Analysis
大手FXディーリング銀行の注文データをもとに、Stop LossやTake Profitの注文がラウンドナンバー周辺などへ集中する傾向を検証した研究。
https://www.newyorkfed.org/research/staff_reports/sr125.html
Carol L. Osler|Stop-Loss Orders and Price Cascades in Currency Markets
Stop Lossの発動が、短期的で自己強化的なPrice Movementへつながり得ることを検証した研究。
https://www.newyorkfed.org/research/staff_reports/sr150.html
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0261560604001147
Global Foreign Exchange Committee|FX Global Code
Stop Orderに関係する取引と、市場を不適切に動かす行為を区別して考えるための資料として参照。
https://www.globalfxc.org/fx-global-code/
Committee on the Global Financial System(CGFS)|Market Liquidity: Research Findings and Selected Policy Implications
Liquidityを単にStop Lossの存在と同一視せず、市場で取引を成立させる能力や価格への影響などを含む広い概念として確認するために参照。
https://www.bis.org/publications/cgfs-paper-11-market-liquidity-research-findings-and-selected-policy-implications

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