150.100と表示されていたのに、なぜ150.100で約定しない?
画面にはUSD/JPY 150.100と表示されていた。
そこで注文したのに、約定履歴に残っていた価格は150.102。
画面で見ていた価格と、約定履歴に残った価格が違います。
この2つの価格だけを見ても、150.102という結果がどこで生まれたのかまでは分かりません。
画面に150.100と表示されていたなら、
なぜ150.100で約定しないことがあるのでしょうか?
今の段階で見えているのは、
画面では150.100を見ていた。
そして、
結果として150.102が残った。
という両端だけです。
その間で何が起きているのかは、まだ見えていません。
まずは、価格が表示されることと、その価格で取引が成立することの関係から見ていきます。

価格が見えていることと、約定することは同じなのか
最初に見えていたのは、画面の150.100と約定履歴の150.102という2つの価格でした。
この間へ進む前に、いったん「表示」と「約定」を分けて見てみます。
画面に見えている価格は何だったのか
前回までに、MT4・MT5へ表示される価格が、どこからともなく現れているわけではないことを追ってきました。
Traderの画面には、Bid / Askが表示されています。
このBid / Askを、ここではQuoteとして見ていきます。
ただし、Quoteとして価格が表示されていることと、その価格でExecutionが完了することは同じ問題ではありません。
150.100が画面に表示されていた。
一方で、約定履歴には150.102が残っていた。
この2つは、同じ段階の価格ではありません。
Quoteとして表示された価格と、Executionの結果として残った価格に分けて見ていきます。
この違いを追うには、Execution(執行)とFill(約定)も分けておく必要があります。
ExecutionとFillはどう違う?
Executionは、注文がどのように執行されるかという処理・過程を指します。
Fillは、その結果として成立した約定です。
価格が表示されていることと、
その価格でExecutionが完了することは分けて考えます。
ここまでで、150.100と150.102は同じ段階の価格ではないことが見えてきました。
ここからは、表示された価格と約定された価格の「差」へ目を向けます。

約定された価格に「差」が生まれる――Slippageとは何か
150.100が表示されていたのに、約定された価格は150.102だった。
ここから見たいのは、この2つの価格の間にある「差」です。
表示価格と約定された価格が違ったら、
それはすべて「悪い約定」なのでしょうか?
ここで登場するのが、Slippage(スリッページ)です。
Slippageは「どの価格との差」なのか
Slippageは、比較の基準となる価格と、実際に約定された価格との間に生じる差として捉えます。
ただし、「画面で見た価格との差」とだけ覚えてしまうと少し足りません。
何を比較の基準とするかは、注文の種類やExecutionの条件によって同じとは限らないからです。
理解のため、いったん150.100を比較の基準として置いてみます。
比較の基準:150.100
Fillされた価格:150.102
この2つを比べれば、価格に差が生じていることが分かります。
ここで見たいのは、単に「ずれたかどうか」ではありません。
何を基準にして、どの価格で約定されたのか。
Slippageを見るときは、この2点を切り分けて考えます。
Slippageは悪い方向にだけ起きるのか
先ほどと同じく、理解のため150.100を基準に置いた買い注文で考えてみます。
150.102でFillされれば、基準より不利な方向へ価格がずれています。
これはNegative Slippageです。
反対に、150.098でFillされたなら、基準より有利な方向へ価格がずれています。
こちらはPositive Slippageとして捉えられます。
そして、基準となる150.100と同じ価格でFillされれば、Zero Slippageです。
整理すると、
- Negative Slippage:Traderに不利な方向の価格差
- Positive Slippage:Traderに有利な方向の価格差
- Zero Slippage:基準となる価格とFillされた価格に差がない
となります。
売り注文では、有利・不利となる価格の方向が反対になります。
Traderに有利な価格でFillされることは、Price Improvement(価格改善)と表現されることもあります。
ただし、Positive SlippageとPrice Improvementを、どの場面でも完全に同じ意味として扱う必要はありません。
ここでは、比較の基準より有利な価格でFillされる場合もあるというところまで見ておきます。
Slippageは、Traderに不利な方向の価格差だけを指す言葉ではありません。
最初に見た150.100と150.102の差も、これで一つの見方ができるようになりました。
ただ、まだ分からないことがあります。
同じ1Lotを注文するなら、いつでも同じようなExecution結果になるのでしょうか。

同じ1Lotでも、Executionの条件は同じとは限らない
Slippageを見ていくと、注文量だけでは説明できない部分が見えてきます。
たとえば、同じUSD/JPYの買い1Lotを2回出したとします。
注文量はどちらも1Lotです。
それでも、同じExecution結果になるとは限りません。
「1Lot」という数字だけでは足りない
第01話から、私たちは「1Lot」を追いかけてきました。
1Lotという数字から分かるのは、あくまで注文の大きさです。
その1Lotが、どのような環境の中でExecutionされたのかまでは、注文量だけでは分かりません。
だから、
1Lotだったから、このExecution結果になった。
と数量だけで結びつけることはできません。
では、同じ1Lotでも何が違い得るのでしょうか。
LiquidityをExecution側から見直す
Liquidityは、これまでにも何度か登場してきました。
価格がどう形成され、どう動くのかを追ったときには、その瞬間のLiquidityがどのような状態にあるのかという視点がありました。
今回は、そのLiquidityを注文する側から見てみます。
同じ1Lotでも、利用できるLiquidityや市場環境が異なれば、Executionを取り巻く状況も変わり得ます。
さらに、Liquidityや市場環境だけでなく、注文がどのような条件で処理されるのかも、Execution結果を見るうえでは無視できません。
ただし、Liquidityの状態だけを見て、Slippageが必ず起きると一本の因果関係で結ぶことはできません。
同じ1Lotでも、Executionを取り巻く条件まで同じとは限りません。
ここまで見てくると、最初の1Lotも少し違って見えてきます。
「何Lotだったか」だけではなく、「どんな条件の中でExecutionされたのか」。
Execution結果を見るには、Executionを取り巻く条件にも目を向ける必要があります。
そして、もう一つ残っている要素があります。
注文を出してから結果が返ってくるまでには、時間があります。

注文と約定の間にある「時間」
同じ1Lotでも、Executionを取り巻く条件まで同じとは限らないことが見えてきました。
そこに、もう一つ加えたいのが時間です。
画面で価格を見る。
注文を出す。
その注文が処理され、Executionの結果が返ってくる。
この一連の出来事が、すべて同じ瞬間に起きているわけではありません。
ここで関わってくるのが、Latency(遅延)です。
Latencyは「Ping」だけではない
Latencyと聞くと、インターネット回線のPingを思い浮かべることがあります。
もちろん通信にかかる時間も、その一部として関わり得ます。
ただ、Executionを見るときのLatencyを、PCからFX業者までの通信時間だけで捉えると足りません。
注文を出してから結果が返ってくるまでには、いくつかの区間があります。
たとえば、
- 注文情報が届くまでの時間
- システム内部で処理される時間
- Executionの結果が返るまでの時間
などです。
どの区間を測っているのかによって、Latencyという数字が指している範囲は同じとは限りません。
そのため、
Latencyが○msだった。
という数字を見るときも、まずは何と何の間を測った時間なのかを見る必要があります。
価格はその間も動いている
ここで、最初の150.100へ戻ってみます。
Traderが150.100を見た時点と、注文が処理される時点。
その間にも、市場の価格は変化し得ます。
つまり、
価格を見る
↓
注文する
↓
注文が処理される
という流れには、価格だけでなく時間の差もあります。
その時間の中で価格が変われば、最初に見ていた価格とFillされた価格が同じになるとは限りません。
ただし、Latencyがあれば必ずSlippageが発生する、という意味ではありません。
Execution結果は、時間だけで決まるものではないからです。
Executionを見るときは価格だけでなく、「いつ処理されたのか」という時間軸も必要です。
ここまでで、Execution結果を見るための視点が少し増えてきました。
注文の大きさ。
Liquidityや市場環境。
そして、時間。
では、価格や市場環境が短い時間の中で大きく変化しやすい場面では、Executionはどう見えるのでしょうか。
次は、経済指標発表の瞬間へ戻ってみます。

経済指標発表の瞬間、Executionでは何が起きる?
ここまで、Executionを見るときには、注文量だけでなく市場環境や時間も関わることが見えてきました。
ここで、それらを経済指標発表の瞬間に重ねてみます。
普段と同じ1Lotを出しているのに、
なぜ経済指標の瞬間はExecution結果が変わりやすいのでしょうか?
普段と同じ注文でも、市場環境は同じではない
たとえば、USD/JPYで買い1Lotを注文するとします。
普段の時間帯でも、経済指標発表の直後でも、注文量そのものは同じ1Lotです。
しかし、その注文が置かれている環境まで同じとは限りません。
経済指標の発表前後では、価格が短い時間の中で大きく変化する場面があります。
Liquidityの状態やSpreadなども、普段と同じとは限りません。
つまり、
同じ1Lotを出した。
という事実だけでは、そのときのExecution条件まで同じだったとは言えません。
ここまで別々に見てきた注文量以外の条件と時間が、経済指標発表という一つの場面で重なってきます。
Slippage・Latency・Fillを一つの場面で見る
経済指標発表の瞬間に注文を出したとします。
Traderが価格を見てから注文が処理されるまでの間にも、価格は変化し得ます。
その結果、最初に比較していた価格とFill(約定)された価格に差が生じることもあります。
ここでは、LatencyやLiquidity、市場環境の中で、FillやSlippageというExecution結果がどう現れるのかを一つの場面で見ていきます。
ただし、
経済指標だから必ず大きなSlippageが起きる。
と決めつけることはできません。
同じように、経済指標発表というだけで、Execution結果を一つに決めつけることもできません。
見ているのは、「経済指標」という名前そのものではなく、その瞬間の価格変化やLiquidity、市場環境の中で注文がどうExecutionされたのかです。
経済指標発表時も、「指標だから」ではなく、その瞬間の市場環境とExecution結果を見ます。
ここまで見てきたのは、注文が約定されたあとの価格差でした。
では、注文を出しても約定まで至らない場合はあるのでしょうか。

注文を出しても、必ず約定するわけではない
ここまでは、注文が約定されたケースを中心に見てきました。
では、注文を出しても約定まで至らない場合はどうなるのでしょうか。
比較の基準としていた価格と異なる価格で約定されるだけではなく、注文が成立しない、あるいは別の価格が提示されることもあります。
ここで登場するのが、Requote(再提示)とReject(注文拒否)です。
Requoteとは何か
注文を出してから処理されるまでの間に、価格が変化する場面を考えてみます。
そのとき、現在の価格をあらためて提示し、その価格で取引するか確認する方式があります。
これがRequoteです。
Trader側から見ると、
注文を出す
↓
別の価格が提示される
↓
その価格で取引するかを判断する
という形になります。
ただし、価格が変わったときの処理が、どのExecutionでも必ずRequoteになるわけではありません。
価格差を許容する条件の中でExecutionされる場合もあり、どのように処理されるかはExecutionの仕組みによって異なります。
Rejectとは何か
もう一つは、注文が受け入れられず、約定まで至らない場合です。
これがRejectです。
ここで分けて見たいのは、
Requote=別の価格が提示される
Reject=注文が受け入れられない
という違いです。
どちらも「注文した価格と違った」というだけの話ではなく、Execution上の扱いが異なります。
注文を出しても、必ず約定まで至るとは限りません。
ただし、RequoteやRejectが、どのExecutionでも同じ条件・同じ形で発生するわけではありません。
ここで、取引条件などで見かける二つの表現にも目を向けてみます。
「約定拒否なし」
「リクオートなし」
一見すると分かりやすい言葉です。
「約定拒否なし」と書かれているなら、Execution全体が優れているという意味なのでしょうか?
この言葉を読むには、まず何が「ない」と言われているのかを分けて見る必要があります。

「約定率99.98%」なら、約定力は高い?
ここまで来ると、「約定拒否なし」「リクオートなし」という言葉も少し違って見えてきます。
では、そこにもう一つ、
「約定率99.98%」
という数字が加わったらどうでしょうか。
99.98%という数字だけを見ると、「約定力が高い」と判断できそうです。
ですが、その前に確認したいことがあります。
「約定率99.98%」という数字は、そもそも何を数えた99.98%なのでしょうか?
「約定率99.98%」は何を数えた99.98%?
「約定率」という言葉を見ると、
出した注文のうち、どれだけFillされたのか。
という割合を想像しやすいかもしれません。
ただ、「約定率99.98%」という数字だけでは、その計算条件までは分かりません。
まず見たいのは、何を分母・分子として、どの条件で集計した数字なのかです。
たとえば、
- 何を分母にしているのか?
- 何をFillとして数えているのか?
- 件数ベースなのか、取引量ベースなのか?
- どの期間を集計したのか?
- どの注文種別を対象にしたのか?
- 対象となる商品・口座・取引条件は何か?
- どのような市場環境を含んでいるのか?
といった条件です。
同じ「99.98%」でも、何を数えた数字なのかが違えば、その数字が表しているものも変わります。
ここで見たいのは、その数字が正しいか間違っているかではありません。
数字の定義と、その数字がどこまでを表しているのか。
まずはそこを分けて見ます。
「約定拒否なし」「リクオートなし」は何を意味する?
同じことは、「約定拒否なし」「リクオートなし」にも当てはまります。
前に見たように、RejectとRequoteは同じものではありません。
そのため、
Rejectなし ≠ Slippageなし
です。
注文がRejectされずFillまで進んだとしても、比較の基準としていた価格とFillされた価格に差が生じる可能性はあります。
同じように、
Requoteなし ≠ 表示された価格で必ずFill
とも言えます。
Requoteが行われないExecutionでも、価格差を許容する条件の中でExecutionされる場合があります。
つまり、
「約定拒否なし」
「リクオートなし」
という言葉は、それぞれExecutionの一側面を表していても、それだけで約定された価格やSlippageまで説明しているわけではありません。
「約定力」という一言を分解すると何が残る?
ここまで見てきた要素を並べてみます。
- Fill Ratio(約定率)
- Execution Speed(約定速度)
- Slippage(Positive / Negative)
- Price Improvement
- Requote
- Reject
どれもExecutionを見るための要素ですが、同じものを見ているわけではありません。
たとえば、Execution Speedが速くても、それだけでSlippageやRejectまで分かるわけではありません。
Fill Ratioが高くても、その数字だけではどの価格で約定されたのかまでは分かりません。
同じように、RequoteやRejectだけを見ても、Execution全体までは見えてきません。
「約定率」「約定拒否なし」「リクオートなし」「約定速度」は、それぞれExecutionの異なる側面を表しています。
ここまで分けてみると、「約定力」という言葉の見え方も変わってきます。
「約定力が高い」という一言だけでは、何が優れているのかまでは分からない。
見るべきなのは、言葉の強さや一つの数字ではなく、Executionのどの側面を、どの条件で見ているのかです。
そしてExecutionをさらに追っていくと、第06話で名前だけ見えていた仕組みに戻ってきます。
Last Lookです。
次は、このLast LookがExecutionのどこにある仕組みなのかを見ていきます。

Last Look――すべての注文にある仕組みなのか
第06話で、Execution Routeを追う途中に名前だけ登場したものがありました。
Last Lookです。
ここまでRequoteやRejectを見てきたことで、Last LookがExecutionのどこに関わる仕組みなのかを追えるようになってきました。
ただし、最初に一つ分けておきたいことがあります。
Last Lookは、Traderが出すすべての注文に必ずある仕組みではありません。
では、どこにあるのでしょうか。
Last LookはExecutionのどこにある?
Last Lookは、電子取引の中で提示された価格に対する取引要求(Trade Request)を受けた側が、最終的にAccept(承認)するかReject(拒否)するかを判断する機会です。
イメージすると、
価格が提示される
↓
その価格に対して取引要求が届く
↓
Last Look
↓
Accept / Reject
という位置関係になります。
Last Lookは、取引要求の妥当性や価格などを確認するために使われます。
Acceptされれば、その取引要求が受け入れられます。
Rejectされれば、その取引要求はその提示価格では成立しません。
Last Lookは画面に価格を表示する仕組みではなく、提示価格に対する取引要求を受けたあとに関わる仕組みです。
ただし、この流れをそのまま、
Trader → FX業者 → Last Look → LP
という固定された一本のルートとして考えることはできません。
Last Lookがどこで関わるのかは、Execution RouteやLiquidity Source、取引関係によって同じとは限らないからです。
Traderのすべての注文にLast Lookがあるわけではない
TraderがMT4・MT5から注文を出したからといって、その注文に必ずLast Lookが適用されているとは限りません。
Last Lookを利用する電子取引の関係もあれば、そうではない関係もあります。
そのため、
Rejectされた=Last Lookがあった
とも、
Rejectされなかった=Last Lookがなかった
とも、それだけでは判断できません。
同じように、Traderの画面からLast Lookの有無を直接読み取れるとも限りません。
ここで大切なのは、Last LookをRetail FXのすべての注文に共通する仕組みとして置かないことです。
Executionを追った先で、条件によって関わることがあります。
今は、その位置関係まで押さえておきます。
では、Last Lookを使う取引関係では、なぜ受ける側にAccept / Rejectを判断する機会があるのでしょうか?
この疑問は、Executionの結果だけを見ていてもまだ解けません。
いったんここで、Trader側から追ってきたExecutionを整理してみます。

まとめ――見えている価格だけではExecution Qualityまでは分からない
ここまで、Trader側からExecutionを追ってきました。
最初にあったのは、ほんの小さな違いです。
画面には150.100と表示されていた。
しかし、約定履歴には150.102が残っていた。
この2つの価格の間を追うだけでも、いくつもの要素が見えてきました。
Quoteとして見えていた価格。
Executionと、その結果としてのFill。
SlippageやLatency。
そして、RequoteやReject。
さらに、Executionを見るときには、
同じ1Lotだから、いつでも同じ結果になる。
とは限りませんでした。
Liquidityや市場環境、注文が処理される条件、時間軸まで含めて見なければ、Executionの結果は一つの要素だけでは説明できません。
だから、
「約定率が高い」
「約定拒否なし」
「リクオートなし」
「約定速度が速い」
という一つの数字や言葉だけで、Execution全体を判断することもできません。
価格が見えていることと、その注文がどのようにExecutionされたのかは別の問題です。
ここで、最初の150.100へ戻ってみます。
150.100が画面に表示されていたことから分かるのは、その時点でTraderの画面にその価格が見えていたということです。
そこから150.102というFillが残るまでの間には、Executionがあります。
そしてExecution Qualityを見るなら、
- Fillされたか
- どの価格でFillされたか
- Slippageはどの方向だったか
- Executionにどの程度の時間がかかったか
- RequoteやRejectはどう扱われているか
といった複数の側面へ分けて見る必要があります。
見えている価格だけでは、その注文のExecution Qualityまでは分からない。
これで、最初の疑問にも一つの答えが見えてきました。
150.100と表示されていても、150.100でのFillまで保証されているとは限りません。
画面に見えている価格と、実際のExecutionは分けて考える必要があります。
ただ、Last Lookまで追ったところで、新しい疑問が残りました。
注文を受ける側から見ると、同じ1Lotでも「良い注文」「嫌な注文」があるのでしょうか?
ここから先は、Trader側からExecutionを見るだけでは足りません。

次回|FX市場の裏側・第08話
第07話では、画面に見えていた150.100と、約定履歴に残った150.102。
その2つの価格の間をたどりながら、注文がどのようにExecutionされるのかを追ってきました。
その先で、見えている価格だけではExecution Qualityまでは分からないところまでたどり着きました。
次回は視点を反対側へ移し、注文を受ける側からFlowを見ていきます。
Traderからは見えにくかった、Flowの性質と、注文を受ける側の判断を追っていきます。
主要資料・出典
本記事では、Execution、Fill、Slippage、Requote、Reject、Latency、Last Lookなどの仕組みについて、主に以下の公的資料・業界資料を参考にしています。
主要資料
Global Foreign Exchange Committee(GFXC)|FX Global Code
電子FX取引におけるExecutionの考え方、Last Lookの位置づけ、提示価格に対するTrade Requestの扱いなどを確認。
また、FX Global Codeが主にWholesale FX市場のMarket Participantsを対象とした原則であることを確認。
https://www.globalfxc.org/fx-global-code/?utm_source=chatgpt.com
Global Foreign Exchange Committee(GFXC)|Execution Principles Working Group Report on Last Look
Last Lookの定義、提示価格に対するTrade Requestを受けた側がAccept / Rejectを判断する仕組み、価格や取引要求の妥当性を確認する位置づけなどを確認。
https://www.globalfxc.org/docs/gfxc_report_last_look.pdf?utm_source=chatgpt.com
National Futures Association(NFA)|Forex Transactions: Regulatory Guide
Retail FXにおけるPrice Slippage、Requote、Slippage Parameterなどの扱いを確認。
注文時に見えていた価格と、注文がシステムへ到達した時点の価格が異なる場合があることや、その際のExecution方法が一つとは限らないことを確認。
https://www.nfa.futures.org/%5C/members/member-resources/files/forex-regulatory-guide.html?utm_source=chatgpt.com
European Securities and Markets Authority(ESMA)|Q&A relating to the provision of CFDs and other speculative products to retail investors under MiFID
CFD・Rolling Spot Forexなどにおける、Quoted PriceとExecuted Priceの間のLatency、Positive / Negative Slippage、Volatile MarketでのExecutionなどを確認。
Executionを価格差だけでなく、時間や市場環境と合わせて見る際の参考とした。
https://www.esma.europa.eu/sites/default/files/library/2016-1165_qa_relating_to_the_provision_of_cfds_and_other_speculative_products_to_retail_investors_under_mifid.pdf?utm_source=chatgpt.com
European Union|MiFID II Article 27 ― Obligation to execute orders on terms most favourable to the client
Executionを評価する際には、価格だけではなく、Cost、Speed、Likelihood of Execution、Size、Natureなど複数の要素が関わることを確認。
本記事で「約定力」という一言を複数の側面へ分けて考える際の参考とした。
https://eur-lex.europa.eu/eli/dir/2014/65/2026-06-06/eng?utm_source=chatgpt.com
※各資料が対象とする市場・規制範囲は同一ではありません。本記事では、Retail FXのすべての注文が同一のExecution RouteやLast Lookの仕組みを通るものとして扱わず、それぞれの資料が示す範囲を踏まえて構成しています。








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